演劇鑑賞「劇団四季 ライオンキング」
11月7日(土)、本年度初の総合学習プログラムが実施されました。
令和2年度がスタートしてから7ヵ月が過ぎ、このプログラムも5月に実施予定のものでした。
プラドアカデミー高等学院では、芸術鑑賞として音楽鑑賞会や歌舞伎鑑賞会を実施してきましたが、演劇を鑑賞するのは初めてのことで、みなこの日を楽しみにしていました。
今回、観賞したのは劇団四季の「ライオンキング」です。劇団四季では、新型コロナウイルス感染症のために全ての公演の中止を余儀なくされていましたが、座席の間隔を充分に取った形での公演が7月14日から順次再開されていました。この7月14日は、劇団四季の創立67周年を迎えた日とのことです。政府による緊急事態宣言が5月25日に全面解除されてから、劇団四季でも6月より、上演に向けた稽古を順次再開することとなったとのことで、劇団員にとっても、また公演を楽しみにしていた人にとっても喜ばしい日となったのではないでしょうか。
さて、みなさんは日本にある劇団をいくつ知っていますか?劇団とは、舞台演劇を活動の主とする団体のことです。小さな劇団から大きな劇団まで数えきれないほどの劇団があると思います。でも、その中で『劇団四季』は誰もが知る劇団と言っていいかもしれませんね。
劇団四季は、演劇を通して「人生の喜び」「生きる感動」を届けることをモットーに、1953年、10名の学生によりスタートしましたが、現在では世界的に見ても最大規模の演劇集団となりました。 日本国内に専用劇場を持ち、ストレートプレイ(芝居)、オリジナルミュージカル、海外ミュージカル、ファミリーミュージカルなど、幅広いレパートリーを上演し、近年の年間の総公演回数は3,000回以上、総観客数は300万人を超え、所属している約1,400名の俳優・技術スタッフ・経営スタッフが、一丸となってお客様に演劇の感動を届けています。
私たちが鑑賞した『ライオンキング』は、「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」をテーマにアフリカのサバンナに生きるライオン・シンバの成長を描く物語です。昨年の12月20日に日本上演21周年を迎え、日本通算上演回数は1,2000回以上で、これまでに1,200万人以上が観劇しているそうです。日本国民の約10人に1人が観劇した計算になり、まさに国民的ミュージカルと言っても過言ではないですね。
そんな記録を残している「ライオンキング」ですが、初めて観劇する生徒がほとんどでした。生徒たちは一様に演じている役者たちのクオリティ、また舞台装置などに感動と驚きを禁じ得ないようでした。舞台で演じられていた動物は表情豊かで、植物は生き生きとして、まるで舞台がアフリカに見えてくるかのようでした。「見どころは?」と尋ねられたら、見どころだらけで1つに絞れない、そんな素晴らしい作品でした。
劇団四季は、実力主義ということで知られていますが、選ばれたキャストたちは、並々ならぬ努力を積み重ねてオーディションを通ってこられた方たちなのだと思います。知名度があるから選ばれるということは劇団四季では決してなく、お客様を感動させる技術と能力があるかどうかということになると思います。お客様を感動させるための技術と能力は、毎日毎日の努力からしか生まれないのだと思います。
生徒たちも今回の「ライオンキング」を観賞して、学んだことがたくさんあったと思います。努力することの大切さも感じたのではないでしょうか。そして、夢を諦めてはいけないということも。
初の演劇鑑賞会でしたが、生徒の知識見聞を広め情操を培うという意味でも今後も続けていきたいと思えた鑑賞会でした。
今回お世話になった方
劇団四季 積水ハウスミュージカルシアター 四季劇場「夏」
〒東京都品川区広町2-1-18
生徒の感想
Y.Oさん
劇団四季を鑑賞するのは、今回が初めてだったので、前日からとても期待していたが、想像を越える素晴らしいものだった。
まず、動物・植物などの人間以外のものでも、役者の方々が自分の身体を使って表現していたのがとても衝撃的だった。客観的に見れば、どう見ても人間が演じていると分かるのに、動物であっても植物であっても、その特徴をしっかりと捉えているため、ちゃんと動物や植物に見えてくるのがとても不思議だったし、でもやはりそれには役者の方々の力量や日々の努力から来るものなのだろうと思った。また、特に主役や主役に近い役を演じている方々は、演技・歌・踊り、どれをとっても一流だった。普通に過ごしていてはあの声量は出せないし、体感や柔軟性も得ることはできないので、もちろん才能がある役者の方々であるのはまちがいないことだと思うが、その上さらに日々の努力や鍛錬・苦労が劇を通して多く感じられる素晴らしい演技だった。特に踊りに関しては、私が経験者であることもあり、よく注視して見てしまったが、踊りが本当に上手というのは言うまでもなく、柔軟性や筋肉、それに加え表現力のスキルが本当に高くて、毎日小さな努力をコツコツと積み重ねている姿が想像させられたし、『ライオンキング』という作品に心から真剣に向き合っているからこそ、しっかり役に入り込むことができ、感動を与えられる素晴らしい演技が出来るんだなと感じた。
H.Hくん
今回は私の人生で初のミュージカル鑑賞でした。ミュージカルとはどのようなものなのか全くわからなかった為、私にとっては未知の世界でした。しかし、いざ始まるとその迫力と世界観に次第に引き込まれていきました。主役の演技はもちろん素晴らしかったのですが、私が特に感動したのは動物たちや植物などのわき役やパーカッションの人たちでした。それぞれの動物たちの動きが美しく、しなやかに再現され、植物でさえも豊かな表情を持ち、テンポの良い盛り上がる場面や静寂に包まれる夜の場面がパーカッションによって引き立てられていました。また、上演中に見たキリンや象の動きがとても印象的で帰宅後に調べてみると、キリンは竹馬で歩き、巨大な像は四つの足を四人で動かしているとのことでした。あれほど長い竹馬に乗り、全身を使って本物そっくりな動きを再現しているキリンや四人の息がピッタリ合わなければ動かすことが出来ない像の役は、練習の成果の賜物なのだなと思いました。一つの劇というものは、主役はもちろんのこと、わき役をはじめとする多くの人たちのチームワークによって成り立ち、私たち観客に感動を与えているのだなと感じました。機会があれば是非また見に行きたいです。
R.Tくん
私はミュージカル「ライオンキング」を観劇して、終始圧倒されていた。
私自身、正直なところ、ミュージカルや演劇の類には明るくなかったのだが、そんな私でもそのレベルの高さはすぐに感じ取ることが出来た。特に今年はコロナ禍の中で例年よりも準備不足になってしまうのは火を見るより明らかである。にも拘わらず、あれだけのクオリティを見せつけてくれるのは、流石であると賞賛の声を禁じ得ない。
演劇の部分に関して言えば、終始私は、いや会場にいた誰もが舞台に惹きつけられただろう。筆舌に尽くし難しとはこれ正に。到底私の中の辞書では言い表すことができない。強いて言うとすれば一言、「すごい。」この一言だけである。これは決して蔑ろにしているのではなく、下手に言葉で着飾るよりもよほど真摯に表現できると私は思う。また、観劇した者ならばきっと、納得してくれよう。
特に私が関心を覚えたのは二点ある。まず一つは、セットの移動である。あれだけ流動的に切り替わって行く中でスポットライトや暗幕の一瞬に入れかえてしまうのだ。自然と感心の声が漏れた。また別の場面では、演者たちが踊っているかと思えば、いつの間にかセットが入れ替わっているではないか。なんと周到に計算を入れた動きだろう。私はひどく惹きつけられた。もう一点は、表情が全く見える距離ではないと言うのに演者の表情が手に取るように分かることだ。セリフはもちろんのこと、一挙手一投足、細やかな部分から感情を、表情を観客に伝えているのだ。私はそう感じられた。