第12回 『過去形は過去を表す!?(その1)』

中学校では、過去のことを表す時には、過去形を使うと習いました。
例えば、「私は昨日学校に行きました」は、

I went to school yesterday.

勿論、この英文自体は、正しい表現ですが、実は、「過去」のことを表す時には、過去形を使うという表現は適切ではありません。
過去形の定義:『距離を感じる時に過去形を使う』
過去というのは、すでに過ぎ去ってしまったものであり、終わってしまったことなので、たとえ1分前のことであっても、英語を話すネイティブにとっては、遠くに感じるようです。上の例文も、今という現在から、時間的にキョリを感じているために過去形が使われているのです。
過去のことだから、過去形ではないのです。

別の例を見てみましょう

1. Can you pass me the salt?
2. Could you pass me the salt?

上記の違いが分かりますか。
ちなみに、語句をチェックしておくと、「pass+人+もの」で、「人にものを手渡す」という意味です。

1.「塩を取ってくれる?」「塩を取ってくれませんか?」
2.「塩を取っていただけませんか?」「塩を取ってくださいませんか?」

 

1は、普通のカジュアルな表現ですが、2は、過去形を使うことで、丁寧な表現となり、ここでは、過去のことを表してはいません。

では、なぜ、過去形にすることで、丁寧な表現になるのでしょうか。そうです、先ほどの過去形を使う時の定義を思い出してみてください。過去形は、キョリを感じる時に使うのでしたね。

丁寧であるということは、別の見方をすれば、相手との間に、キョリがあるということです。例えば、初対面の人と話をする時には、必然的に、敬語や丁寧語を使います。それは、初めて会った相手や目上の人に対しては、心的距離が伴うからです。つまり、丁寧な表現を表したい時には、過去形を使うのです。

次回も、過去形を使う別の例を検証してみたいと思います。

 

 

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