2015年1月1日
総合学習プログラム
落語in和室
1月16日(金)、新宿文化センター4階の和会議室で『落語in和室』を聞いてきました。『落語in和室』は、公益財団法人新宿未来創造財団が「落語をもっと身近に!もっと気軽に!」楽しんでほしいと毎月1回、新宿文化センターの和会議室と大久保スポーツプラザの和室で開かれているものです。事前申し込みも不要、料金も格安(400円)で若手落語家の”噺芸”を聞けるということで、我が校でも足を運んでみることにしました。
和会議室
和室というからには、畳の上に正座…?と不安に思った生徒もいたかもしれませんが、会場の和会議室(畳敷き)は畳の上に小さな椅子が並べられていました。この椅子が何とも座り心地がよく、ゆったりした気持ちで落語を聞くことができました。
『落語in和室』では、お二人の落語家さんが落語を披露してくださりました。今回演じてくださったのは、前座の「桂竹わ(かつら ちくわ)」さんと二ツ目の「三笑亭 可女次(さんしょうてい かめじ)」さんでした。
前座 桂 竹わ さん
前座「桂 竹わ」さんは、桂竹丸師匠に弟子入りしてもう少しで一年になるとのことでした。お話してくださった演目は、古典落語の『一目上がり』。ご隠居に掛け軸の褒め方を教わった八っつあん。掛け軸に書かれている文字を「結構な讃(さん)ですね」と褒めれば一目置かれると言われ、大家の家を訪ね、教わった通りに褒めてみるが「讃(さん)」ではなく「詩(し)」だと言われ、次に行った家では一休禅師の「悟(ご)」だといわれます。さん、し、ごと来たから次は、六に違いないと思った八っつあん。次に回った家の掛け軸に「結構な六ですね」と言ったら、「馬鹿、これは七福神の宝船だ」と返される。文字で表すと賛・詩・悟…と明白ですが、そこを話芸で聴かせるのが落語の面白いところなのだと思います。一緒に聞きに行った落語大好き岡本先生が、「落語も難しいですね。」とおっしゃいましたが、まったくもってその通り。笑うためには知識もないと…(汗)
二ツ目の「三笑亭 可女次」さんは、演目に入る前のお話がとても皆の笑いを誘っていました。差別語を言い改めるお話で、「めくら」→「目の不自由な人」ですが、「顔が不細工な人」のことは「顔が不自由な人」と言うなどなど。可女次さんの演目は、『竹の水仙』。江戸時代初期に活躍したといわれる伝説的な彫刻職人の左 甚五郎を題材とした落語で、他にも彼を題材にした落語はいくつもあるようです。『竹の水仙』は、ぼろの着物を着て旅を続けている左甚五郎が宿屋に泊り、毎日お酒を飲み続け、宿賃を払わないので、甚五郎の正体を知らない宿屋の女房は不安に思い、亭主に宿賃の催促をさせました。案の定、甚五郎は金を持っていないと答えました。その代わりに竹で水仙をこしらえ、宿の玄関先に置かせます。これに目をとめたのが細川越中守(ほそかわえっちゅうのかみ)でした。家来に買いに行かせると、宿屋の亭主は甚五郎に言われたままに200両という価格を伝えます。あまりの高額に家来は怒って帰ってしまいます。ところが越中守は甚五郎が作ったものだと分かっていて、なぜ買ってこなかったのかと激怒しました。あわてて家来は買いに戻りますが、宿屋の亭主は300両につり上げてしまいます。それでも家来は買って帰りました。そして甚五郎は宿屋夫婦に正体を明かし、宿賃として120両を渡します。この時、人を身なりで判断しないようにと忠告して旅立ちました。『竹の水仙』には、落語のオチというものはありません。
二ッ目 三笑亭 可女次 さん
さてさて、みなさんは落語界に階級と言うのがあるのを御存じですか?大相撲の力士にも番付と呼ばれる階級がありますね。上から横綱・大関・関脇・小結・前頭・十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口ですね。「幕内」と呼ばれる力士は前頭より上の力士ということになります。相撲界だけでなく、階級と言う制度?はまだまだ多くの世界にあるのですが、落語界にもそれがあります。
落語界では、上から真打・二ツ目・前座・見習いと階級があります。落語芸術協会のHPを見ると、上から真打・真打(上方)・二ツ目・前座・色物・色物(客員)・おはやしとなっています。この階級は、関西にはないそうですが、想像するに相当多くの落語家のみなさんがいらっしゃるのですね。
はじめて、落語を生で聴いたという生徒たちも「楽しかった。」「聞けて良かった。」と落語を楽しめたようでした。最後に竹わさんと可女次さんにお願いをして、一緒に写真を撮らせていただきました。
今回お世話になった方
公益財団法人新宿未来創造財団 文化交流課
TEL 03-3350-1141
公益社団法人 落語芸術協会
〒160-0023
東京都新宿区西新宿6-12-30 芸能花伝舎2階
TEL :03-5909-3080
会長 桂 歌丸
生徒の感想
M.Yさん
今まで体験のない落語でしたが、思った以上に楽しかったです。勝手な想像ですが、落語はお年寄りが行くもので、若い人は別の娯楽に流されてしまい、興味も一切沸かないようなものだと思っていました。しかし、実際に行ってみると、私以外のお客さんに若い人はいないようでしたが、皆がとても楽しんでいるように感じました。私自身、失礼ながら大した興味はなかったのですが、話が進むにつれて、どんどん引き込まれるように聞き入ってしまいました。楽しくて笑うこともできてよかったと思います。
人間は生きる上で、様々な経験をし、少しずつ強くなれる気がします。今回のように、楽しいこともあれば、私に今までに起きたことのように辛いこともあるでしょう。明日が見えなくなる日もありましたし、これからもあるのでしょう。しかし、笑顔を忘れず、前向きに生きていきたいと思います。笑顔はきっと、人を幸せにできるのでしょう。