第10回 「mayは深い!?」
今回は、「may」を扱います。mayの用法の一つに、「~かもしれない」と訳す「推量」の意味があります。まず、日本語で考えますが、例えば、「宝くじを買えば、7億円が当たるかもしれない」と、「今日、父親は早く家に帰ってくると言っていたから、もうこの時間なら、家にいるかもしれない」という表現を比べた場合、確率はどうでしょう。前者より、後者の方がかなり高い確率ではないかと推測できませんか。いつも8時に帰ってくる父親が、早く帰ってくると言ったのであれば、今、7時半だと仮定すると、家にいる確率は高いと考えられます。
「~かもしれない」という日本語は、確率に関係なく使える便利な表現ですが、英語は、もう少し厳密な面を持ち合わせています。mayの基本イメージは【50%の推量】です。つまり、「~するかもしれないし、~しないかもしれない」といった半々の確率になります。
例えば、目の前に雨雲が垂れ込めていて、今にも雨が降り出しそうなときには、It may rain. とは使えないのです。なぜならば、mayを使うと、雨が降るかもしれないし、降らないかもしれないという意味になるからです。ここでは、雨雲があり、「もう少しで雨が降りそうだ、とか、雨が降るかもしれない」といった状況なので、
It’s going to rain.
を使います。「雨が降りそうだ」 be going to do ~(~になりそうだ) は、【予測】で使う時には、状況から判断してそうなるものと確信しているという場合に使います。この場面では、雨雲を根拠に、雨が降るのは時間の問題というふうに捉え、be going to do ~ がはまります。
では、ここで、少し練習してみましょう。
He may come here tomorrow. 「彼は明日ここに来るかもしれない」
来る確率は50%、つまり、「来るかもしれないし、来ないかもしれない」。正直、期待はそれほどできないといった感じです。
Bob may pass the examination. 「ボブは試験に合格するかもしれない」
ボブは毎日、学校には休まず来て授業には出席しているものの、試験対策は十分でなかったので、合格する確率は五分五分、ということです。
これまで、皆さんは、なにげなく、mayを「~かもしれない」と訳し、使っていたかもしれませんが、mayの本質が50%であることを知ると、正確に使い分けることができるようになりますので、ぜひ覚えておいてください。