後期進路ガイダンス(講演:早稲田大学3年 浅見直輝さん)
去る7月15日、乙武洋匡氏が代表を務める『グリーンバード新宿』の清掃活動にプラドアカデミー高等学院が参加した際に出会った『十人十輝(じゅうにんといろ)』代表の早稲田大学3年生・浅見直輝さんに、後期進路ガイダンスで講演をしていただきました。
「中学校時代に1年半の不登校を経験した」という浅見さんが、どのような理由で早稲田大学を目指したのか。また受験で大切なことは何なのか、ということについてお話しくださいました。生徒たちは、浅見さんから目を離すことなく真剣に話を聞いていました。そして、講演後には、受験に関する悩みを聞いてもらったり、アドバイスをしてもらったりと有意義な講演会となりました。
浅見さんの講演より
僕は、中学1年生の時に野球部に入っていたのですが、顧問の先生(担任でもあった)に生徒指導室に呼ばれ、理不尽な理由で体罰を受け、もともと暴力が嫌いだったので、それがきっかけとなり反抗のつもりで学校を休みました。一日休むと、もう一日だけ休もう・・・そして1週間も休むと今度は周りのことが気になりはじめ、「人に何か言われているんではないか?」と常に否定的なことを考えてしまうようになりました。それを機に、学校をずるずると1年半も休むことになりました。
休んでいる間、どうしていたかというと毎日ゲームをしていました。当時は「メイプルストーリー」というオンラインゲームに没頭していました。家では反抗的になり、暴れることも度重なり、荒んだ日々を続けるうちに、やがて「自分に生きている価値はあるのだろうか…」とネガティブな思い、自分を責める思いの悪循環から「死にたい」と思うようになり、ついにある日、家にある薬を端から全部飲み干すという「自殺未遂」の行動に走りました。
そんな状況から脱出できたのは、友人たちの存在でした。「自分が変わらなければいけないと思いつつ、どうしても変わることができない自分がいる」「友人たちの声掛けも心のどこかでは嬉しいけれど、素直になれない自分は天邪鬼のように跳ね返していた」。それでもいつも自分のことを気にかけてくれ、家を訪ねてくれる友人たちの支えのおかげで、再び「学校へ行こう」という気持ちが湧いてきました。
1年半ぶりに学校に登校し、学生としての生活を再びスタートすることができ、その時は「壁を乗り越えた充実感」を感じました。
高校に入り、ハンドボール部で2年生まで部活動を続け、その一方勉強にはあまり力を入れておらず、その当時偏差値は40台前半でした。そんな僕がどうして早稲田大学を目指したのかというと、それは大好きだった祖父の死に恩返しをしようと決意したからです。不登校時代、僕は両親の元ではなく祖父母の家にいました。反抗して手が付けられなかった僕を両親が祖父母の家に預けたのです。祖父は僕が小さい頃からとても可愛がってくれました。「直輝、どこ行きたい?」と日本中、あちこち連れて行ってくれました。そんな祖父に当時の僕は暴言を吐いたり、家で暴れてガラスを割ったりと恩を仇で返すことばかりしてきました。
学校にも通えるようになり、生活も安定し、これから恩返しをしようと思っていた矢先に、最愛の祖父を亡くしました。「僕はおじいちゃんに恩を仇で返すことしかしていない」「謝りもしていない」。悔しくて悔しくて仕方ありませんでした。そして、「ありえないことをして恩返しをしよう!」そう思い立ったのです。その「恩返し」というのが、日本で最難関の私立大学と言われている早稲田大学への現役合格でした。
その頃、高校での成績は最下位に近く、目標実現のためには誰よりも努力することが必要でした。そこで、「毎日17時間以上」勉強し、勉強以外の無駄な時間は極力なくし、可能な限り勉強に回しました。それこそ歩いているときも、お風呂に入っているときも、さらには学校の体育の授業では、サッカーのゴールキーパーをしながら単語帳をめくったりもしました(笑)。はじめ周りの友人たちは「早稲田なんて無理だ」と言っていましたが、やがて学校でも校内1位の座を取ると、彼らの僕に対する認識も変わりました。メールアドレスには「I shall overcome waseda」と入れて、自分の決意を周りに宣言したことも自分を鼓舞できた要因だったと思います。
さて、目標設定のポイント
それは、
- 自分の弱点に焦点を当てる
- 自分事で完結する
- 小さい事から
僕は自分だけの文法書を作りました。自分が苦手なところ、自分が間違えやすいところに焦点を当て、自分がわかりやすいようにまとめた「自分オリジナルの文法書」を作りました。
目標を設定する際は、大きな目標ではなく「小さな目標」から取り組むことをオススメします。たとえば、「一日に単語を1個覚える」とか「毎日7時に起きる」とか。そういった小さな目標の達成と積み重ねが自分に自信を与えることになります。
最後に受験本番で一番大切なこと。
それは自信です。
自分に自信を持つことが一番大切です。受験会場でも「俺は誰よりも勉強したんだから、俺にわからない問題は、誰にもわかるはずがない」というくらいの自信を持って受験本番に臨むことが大切です。
今、一番大切にすること。
それは、自分との”小さな”約束を守ること。それが自信へと繋がるのです。
浅見直輝さんプロフィール
中学時代に一年半の不登校を経験。当時は昼夜逆転、日々12時間以上ネットゲームに没頭。変わりたくても変われない自分に苦悩し、自暴自棄となり、自殺未遂等で自分を痛めつける生活を送る。しかし、不登校の頃に迷惑をかけた祖父を亡くし、直接謝ることができなかったかわりに恩返しとして誓った早稲田大学合格を果たす。そして、現在は自身の不登校経験(不登校だからこそ出来た経験)を活かし、およそ18万人いると言われている全国の不登校生に、「不登校だからこそ手にできる可能性」を形にするきっかけを提供すべく、任意団体『十人十輝(じゅうにんといろ)』を立ち上げる。
プラドアカデミー高等学院とは、2014年7月に出会い、その後オープンキャンパスや講演など、様々な活動を共にしている。
生徒の感想
W.Mさん
浅見さんのお話を聞いて、私にできる親孝行は通わせてもらっているプラドアカデミー高等学院でしっかり勉強して、自分の行きたい大学にちゃんと行くことだと強く思いました。自分のためだと私は甘えてしまうので、誰かのために頑張ることにします。それと、自分との小さな約束は、「朝ちゃんと起きて10時の朝礼に間に合うようにする」にします。すぐ破っちゃいそうで怖いけど、早起きは私の永遠の課題なので、とりあえず頑張ります。私はすぐやる気をなくしちゃって、なかなかモチベーションの維持が今まで出来なかったけれど、ちょっとずつ自分を変えられたら良いなと思いました。
S.Mくん
「十人十輝」の浅見さんの話を聞いて、共感できる事がありました。一つ目が「他人にどう思われているかが気になる」。自分は体罰ではなく、体調不良で学校を休んでいましたが、いつのまにか怖くなっていました。二つ目は「恩返し(祖父に)」。自分もおじいちゃん子なので。自分の祖父はまだ元気ですが、このままいけば本当に恩を仇で返してしまいます。なので、絶対に○○大に行かなければ(どうせなら○○や国立大がいいんですけど・・・)と思いました。やはり、行きたい気持ちは80%ぐらいあるのですが、心のどこかでは「どうせ行けないや」と思ってしまっているので、何とか払拭したいです。自分と重なる部分もあったので、浅見さんとは今度もっとよく話したいです。
M.Hさん
浅見さんの講演を聞いて、私も頑張ってみようと思いました。私も一時期学校に行っていなかったり、ゲームやネットにハマって、一日に何時間もやり、勉強を疎かにしていましたが、今からでもきちんと勉強をすれば、まだ間に合うんだと思いました。なので、私も小さな約束を決め、実践していきたいです。普段、不登校の経験がある人や大学生と話す機会がなかなかないので、今回の講演はとても貴重な経験だと思いました。これからの自分の勉強に対する姿勢や進路に良い影響を与えたと信じています。自分のためにも、講演を聞くことが出来て、とてもよかったです。